MF横浜 BGトロンの調整の話
どうも、N.Bと申します。
前回の記事でも書いた通り、MF横浜で使用したBGトロンの話をしようと思います。
デッキリストはこちら。
1.タッチ黒
2.採用したカード
3.採用しなかったカード
4.今後のリスト5.おわりに
1.タッチ黒
端的に書いてしまうと、緑単とタッチ黒を比較した際に緑単であるメリットを感じられなかったのでタッチ黒を選択しました。
主な緑単のメリットとしては
・《森》が1枚多く取れる、もしくは《地平線の梢》か《埋没した廃墟》、《屍肉あさりの地》などの特殊土地を1枚取れる
・サイドの《沼》枠が1つ空く
という点が挙げられ、タッチ黒のメリットとしては
・《思考囲い》によりコンボ、コントロールへの耐性が上がる
・《集団的蛮行》によりバーンへの耐性が上がる
という点が挙げられます。
また、今回メタゲーム上で意識するべきデッキはおおよそ下記のデッキだろうと考えていました。 ※上から順に多いと想定
・イゼットフェニックス
・トロン
・バーン
・人間
・青白コントロール
・BG
・グリクシスシャドウ
・ドレッジ
・タイタンシフト
・アミュレットタイタン
直近の海外GP、金魚、モダン神決定戦の結果、そして自分の参加した大会(ゴールデンチケット争奪戦2回、モダン神トライアル、トレカの洞窟モダンチャンピオンシップ)から想定したメタゲームでした。
日本で開催されるGPである以上、この中でもモダン神の結果と自分の参加した大会を重視してメタゲームを予想していました。
そのため、トロン・バーン・青白コントロールは少し多めにいるだろうという見積もりをしました。
以上を元に、緑単・タッチ黒の相性を考えると、タッチ黒のメリットが活かせるマッチアップが
・トロン
・バーン
・青白コントロール
・タイタンシフト
・アミュレットタイタン
※バーンは《集団的蛮行》、それ以外は《思考囲い》が効果的
とあるのに対し、緑単のメリットが活かせるマッチはBGぐらいしかないように感じました。青白コントロールも土地に多く干渉してきますが、1枚《森》が多いよりも、思考囲いというクリティカルなカードが採用できるメリットの方が大きいと判断しました。
また、モダン環境には雑多なデッキが多く、トロンというデッキは高速コンボ(グリセルシュート、感染など)やワンショット系のコンボ(タイタンシフト、アドグレイスなど)に非常に弱いという特徴があるため、メタ上では意識していないデッキに対して多くの場合《思考囲い》が有効である、という点も大きかったです。
実際、《思考囲い》のおかげで本戦ではアドグレイス、店舗大会では感染に勝利し、不利マッチを覆すことができました。
そのため、今回はタッチ黒することを選択しました。
2.採用したカード
今回採用したカードの中で、特徴的だと思うものだけ書いていきます。それ以外に気になる点があればコメントやTwitterに頂けるととても嬉しいです。
メインボード編
《ワームとぐろエンジン》4枚
1番大きな理由はバーンに対する耐性です。日本ではバーンの使用者が多いため、確実に1度は踏むと思っていました。
タッチ黒しているとはいえ、バーンに対して不利なのは基本的に変わりません。また、メインボードを落とすと2ゲーム目を取ったとしても3ゲーム目が後手になってしまうため、メインボードでの勝率を少しでも上げたいと考えました。
その他の理由としては3ターン目のアクションの確保と、白いデッキの少なさです。
トロンというデッキの強みとして、最速3ターン目に7マナを捻出し、相手より強いアクションを取れることが挙げられます。そのために1~2ターンはマグロになるというリスクを取っているわけです。
《ワームとぐろエンジン》の4枚目と枠を争っていたのは主に《世界を壊すもの》でしたが、このカードは3ターン目にプレイできることはほとんどありません。初動が3ターン目か4ターン目かには大きな差があるため、出来る限り3ターン目に脅威をプレイしたかった、というのが1つの理由です。
《ワームとぐろエンジン》はライフレースを圧倒的有利に持ち込みながら、1:2~3交換まで見込める非常に優秀なクリーチャーですが、モダン環境最強のピン除去、《流刑への道》を撃たれてしまうと6マナ払って1:1交換になってしまうという面があります。
しかし、想定したメタゲームで《流刑への道》を採用できる白いデッキは青白コントロール(とバーン)くらいしかなかったため、《ワームとぐろエンジン》を強く使えると考えたのがもう1つの理由です。
※バーンも《流刑への道》をサイドに採用していますが、トロンに対してサイドインするかどうかは人によります。また、《流刑への道》がサイドインされるとしても《ワームとぐろエンジン》がバーンに対して最強のカードであることは変わらないため、あまり意識しなくてよいと考えました。
《歩行バリスタ》1枚
このカードの扱いはかなり悩みました。
any targetへダメージを飛ばせるため、ほぼどんなマッチアップでも腐ることはなく、マナフラッド受けにもなる丸いクリーチャーなのですが、特別効果的なマッチアップが少ないように感じ、メイン2枚⇒メインサイドに1枚ずつ⇒メイン1枚へと数を減らしていきました。
このカードの役割としては上記のマナフラッド受けに加え、早いターンでキャストしタフネス1のクリーチャーを処理すること、8マナ以上から唱えて《ウギンの聖域》を誘発させることだと考えています。
その中でクリーチャーを処理する、という役割が一番大きいと感じていたのですが、メタゲーム上にタフネス1のクリーチャーが少なく感じたため、採用枚数を減らしています。
人間、BG、親和などが増える傾向にあるのであれば採用枚数を増やしたいです。
《絶え間ない飢餓、ウラモグ》3枚
これに関しては完全に井川プロの受け売りになってしまうのですが、土地が揃ったあとは基本的にいつでも引きたいカードであり、4~5ターン目ウラモグのブン回りの確率を上げたいことから3枚採用としました。
2枚採用を試したこともありますが、《ウギンの聖域》でサーチすると1ターンラグが発生してしまう点、サーチすると《ヴェンディリオン三人衆》や《思考囲い》で狙い撃ちされてしまうことがある点から、直接引きたいカードだと感じたことも大きな理由です。
メインボードから土地に干渉してくるデッキが増える、もしくは高速コンボが増えるようであれば2枚にするかもしれませんが、基本的には3枚の方がよいと感じています。
サイドボード編
《思考囲い》3枚
タッチ黒の項でも書いた通り、苦手なコンボや(個人的に苦手な)コントロールに対するサイドカードです。
ハンデスは後半に引いても効果が薄く、初手~3ターン目くらいには引きたいカードであるため2枚以下の採用は避けたいです。
ただし、《集団的蛮行》でもソーサリー・インスタントは落とすことができ、繰り返しになりますがバーンへの耐性は上がるため、メタゲームの想定次第では2:2に散らすことはあるかもしれません。
苦手なデッキとしてタイタン系のデッキを想定していたので、今回は《原始のタイタン》を落とすことができる《思考囲い》を優先しました。
《難題の予見者》1枚
緑単のリストでは2~3枚採用されているカードですが、タッチ黒で《思考囲い》を採用したことから枚数を減らしています。役割としては《思考囲い》と同じでコンボ・コントロールに対してサイドインします。
また、本リストでは《思考囲い》で落としたカードを《外科的摘出》するというドブンがあるのに対し、《難題の予見者》ではそれができないのもマイナスポイントでした。
とはいえ、4/4のボディを持つことで盤面に影響を与えられ、無色であることで《古きものの活性》《ウギンの聖域》でサーチできるため、1枚は採用したいカードです。
《四肢切断》1枚
早いターンでの相手への干渉手段をほとんど持たず、緑と少しの黒マナしか出ないトロンでも採用できる貴重な除去です。
タッチ黒によりサイドボードの枠が圧迫されているため、-5/-5という修整値によりマナクリーチャーから《氷の中の存在》や《グルマグのアンコウ》まで、幅広いクリーチャーを除去できるこのカードを採用しました。
4点のペイライフが非常に痛く、重ね引きが厳しいため1枚の採用となりました。
《歪める嘆き》1枚
様々なデッキにサイドインできるユーティリティカードです。言い換えると器用貧乏でもあるため、サイドインするデッキは慎重に選ぶ必要があります。
このカードを採用した大きな理由は《氷の中の存在》です。
上でも書いた通り《四肢切断》を2枚以上採用することは難しいと感じましたが、イゼットフェニックスがトップメタである以上、《氷の中の存在》を処理できるカードが2枚は欲しいと感じました。
そこで白羽の矢が立ったのがこのカードでした。
追放除去であることもポイントで、2ターン目にX=1で出てきた《搭載歩行機械》や《恐血鬼》を対処することができます。
また、ソーサリーをカウンターするモードがいくつかの不利マッチに対して強く《風景の変容》や《死せる生》などを打ち消すことができます。
トークンモードでチャンプブロックしたり、1マナ足りない状況を解消したりと意外と腐りづらいカードだと感じています。
《外科的摘出》1枚
コンボデッキを対策できるカードです。
《難題の予見者》の項で書いた通り、タッチ黒のリストでは《思考囲い》から《外科的摘出》により様々なカードを対処することができます。
墓地利用デッキが多いこと、《思考囲い》との相性から2枚目を採用したかったのですが、サイドボードの枠が空けられず1枚のみの採用となりました。
また、トロンにおいては相手が唱えたウルザ土地を対象とした《外科的摘出》を自分で《外科的摘出》することによって対象不適正にさせることができるのも忘れてはいけないポイントです。
3.採用しなかったカード
ここでは採用を検討したが最終的に不採用になったカードについて、その理由を書いていきます。
《世界を壊すもの》
最後まで採用するかどうか悩んだカードです。
《ワームとぐろエンジン》の項でも書いた通り、3ターン目に唱えることができないことや、採用したリストでサイドボードプランを練った際にサイドアウト率が高いことが目についたため不採用としました。
アーティファクト・土地を追放できる能力と到達により親和系デッキに対し非常に強く、唱えたときの誘発によりコントロールに対しても強いため、それらのデッキが多いようであれば採用します。
また、《ウギンの聖域》を誘発させられたり、《ウギンの聖域》でサーチすることが可能であることもメリットの1つです。
《約束された終末、エムラクール》
基本的に誘発型能力を目当てに採用されるカードであり、コントロール・コンボに対し強いカードです。たまにメインボードに採用されているリストもありますが、効く・効かないが分かれるため、基本的にはサイドボードに採用されるカードです。
《絶え間ない飢餓、ウラモグ》を3枚採用したことや、《思考囲い》を採用していることからコントロール・コンボに対する耐性は十分と考え、不採用としました。
また、誘発型能力の扱いが難しく、試行回数が少なくうまく扱えないと考えたことも不採用となった理由の1つであるため、練習時間不足だったと反省しています。
ちなみに、親和系デッキ相手に《電結の荒廃者》が場に出ているときに唱えると、全てのアーティファクトを食いつくし即座に投了に追い込むことができます。
《全ては塵》
メインボード、サイドボード問わず主に速いクリーチャーデッキが多いときに採用されるカードです。
《忘却石》と近い役割ですが、いくつかの明確な差があり、
・破壊と生け贄
・親和や無色系のデッキに対しては《忘却石》しか効果がない
・《全ては塵》は3ターン目に撃てる
・土地が揃わないと《全ては塵》は唱えるのが難しい
・《全ては塵》は《ウギンの聖域》を誘発させられる
・《全ては塵》は《石のような静寂》下でも撃てる
といった点が挙げられます。
バントスピリットに対して《呪文捕らえ》されない、人間に対して《翻弄する魔道士》の指定をすり抜けやすいといった細かい違いもあるため、それらが増えるようであれば採用したいです。
《次元の歪曲》
サイドボードに採用される追加の除去です。
《歪める嘆き》より除去できる範囲は広いですが、やはり《氷の中の存在》を処理できないこと、また《集団的蛮行》である程度代用が利くことから不採用となりました。
《世界のるつぼ》
土地を割ってくる相手にサイドインするカードです。
サイドインする相手が狭く、BG、青白コントロール、唸りプリズンぐらいしかサイドインする相手が想定されなかったため、不採用となりました。
緑単で特殊土地を採用するのであればそれらを再利用できるため、少しポイントが高くなるかなとは思います。
特に《埋没した廃墟》を採用すると《世界のるつぼ》自体を使いまわせ、《ワームとぐろエンジン》《歩行バリスタ》なども再利用できるためなかなか面白そうです。もちろん《幽霊街》や《廃墟の地》を使いまわすこともできます。
《殺戮の暴君》
コントロールに対してサイドインするカードです。
逆に言うとコントロールにしかサイドインしないため、ただでさえ圧迫されているサイドボードの枠を割くことはできないと判断しました。
4.今後のリスト
トロンというデッキの立ち位置がそこまでよくなかったとは思いますが、メタゲームの予想もおおよそ当たっており、デッキ自体のチューンに関しては基本的に満足しています。
ただ、《忘却石》は相手の脅威を処理するために使用される受動的なカードであり、重ね引きして弱いと感じる場面が多かったこと、また、横並びするデッキが少なかったことから枚数を減らしてもいいと感じたので、1枚は《世界を壊すもの》に差し替えたいと思います。
5.おわりに
デッキの解説を書くのは初めてだったので、分かりにくい点や足りない点も多いと思います。プレイも言語化もうまくなっていきたいので、気になった点があればバシバシ指摘してもらえると嬉しいです。
トロンを使っている/使おうとしている方の参考になればさらに嬉しいです。