熱が足りない語りたい

何かしたり何もしなかったり

【セルフカバレージ】ウルザVSウルザ土地【MMMfinals 東京 SE1】

私は、緊張していた。

 

初のTop8に。その場の静けさに。

使い慣れていて強さが証明されたデッキ――エルドラージトロン――を使用したとはいえ、Top8に進めるだけで望外の結果だった。

 

だからこそ、努めて明るく装って対戦相手に声をかけたのだ。

 

「前にやったことありますよね?」

『そうですね』

「では、リベンジということで……」

と。

 

そう、私はこの相手と戦ったことがあった。モダン神挑戦者決定戦の4-0同士のフィーチャー卓で。

そのときは為す術もなく敗北を喫したのだ。

 

大型大会で初のTop8、以前負けた対戦相手。シチュエーションはお誂え向きだ。

 

勝ちに行く。

 

ゲーム1:ミスプレイの果てに

 

今日は豪運だと何度も感じた。

それは例えば赤緑ヴァラクートにストレートで勝ったときや、ドルイドカーンに勝ったとき、2ターン目に《難題の予見者》をプレイしたとき。

しかし、運は収束する。揺り戻しがいつくるか、それはデッキの神にしかわからない。

 

スイスラウンドを1位で抜けた私は先手を取り、いつも通り手札を確認した。

 

《ウルザの鉱山》

《ウルザの魔力炉》

《ウルザの塔》

 

……

 

すまない、キープだ。

 

相手の初動はフェッチランドから……《繁殖池》ショックイン。

 

「つまり……」

『ガチョウをプレイ』

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先手3ターン目《難題の予見者》が見えている手札ならば、《王冠泥棒、オーコ》も2ターン目にプレイされなければ追放可能だと考え、即座に《四肢切断》。

 

お互い特段のアクションなく2ターン目を終え、3ターン目。

《ウルザの塔》をセットし、《難題の予見者》!

 

公開された相手の手札は

 

・《溢れかえる岸辺》

・《大魔導師の魔除け》

・《大魔導師の魔除け》

・《大魔導師の魔除け》

・《謎めいた命令》

・《最高工匠卿、ウルザ》

 

濃厚な手札だが、受けのカードが多い。ここから《最高工匠卿、ウルザ》を追放。

 

返しの相手はメインで《氷牙のコアトル》をプレイ。

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相手の氷雪パーマネントが”合計で”3枚しかないことを確認し《難題の予見者》でアタックすると、

 

『蛇でブロック』

「……? はい」

『では相打ちで』

「other snow permanentじゃないですか?」

『あっ……まぁブロックと言ってしまったので……』

 

哀れ《氷牙のコアトル》だけが墓地へ。

 

土地が4枚の相手に対し、《探検の地図》を起動。サーチする土地を考える。

相手のマナがギリギリの状態ならば、戦闘前メインに《地盤の際》で土地を壊し、戦闘後メインで脅威をプレイすることでカウンターを防ぐことができる。そう考えた私は《地盤の際》をサーチ。

 

直後に《魂の洞窟》がデッキの中にあることに気づき内心頭を抱える。

 

淡々と《難題の予見者》でライフを詰めにいくが、土地が多い手札をキープしたことが災いし他のアクションが取れない。相手だけが《大魔導師の魔除け》を連打。

さらに《ミシュラのガラクタ》とフェッチランドを駆使してハンドを整えていき、《最高工匠卿、ウルザ》をプレイ。巨大な構築物トークンに地上を阻まれることとなる。

 

『ガチャを引きます。……何が1番いいかな、オーコ? ウルザおかわりも結構強い』

 

祈りを込めて相手のデッキをカット。果たしてデッキトップから現れたのは、

 

《大魔導師の魔除け》。

 

『かなり強いな』

 

こちらはやっと引き込んだ《終末を招くもの》を素引きした(!)《魂の洞窟》経由で着地させるも《謎めいた命令》で戻され、さらに《神秘の聖域》で《謎めいた命令》をデッキトップへ。ここで《幽霊街》を起動し、今さらのように土地を1枚削る。

 

再度《終末を招くもの》を出すが、返しで《真髄の針》により封じられてしまう。

《大いなる創造者、カーン》を引き込んだが、相手の手札には《謎めいた命令》があることを知っている以上プレイすることはできない。

 

することがなくなり、構えていた《地盤の際》を《繁殖池》に撃ち込んだ瞬間、自分の大きなミスに気づいた。

 

《謎めいた命令》と《神秘の聖域》によるソフトロックが決まったからだ。

 

アーティファクトを並べて戦線を拡大した相手は、とうとう10/10の構築物トークンでアタック。

 

《難題の予見者》や《終末を招くもの》も、それらを遥かに上回るサイズとなったトークンの前にはチャンプブロックに回らざるを得ない。

 

さらに土地を数枚引いている内に一気にライフが落ち込み、あっという間にラストターンを迎える。

 

力を込めて最後のドローを確認すると、そこには……

 

 

 

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《大いなる創造者、カーン》!

 

 一呼吸置いて出せるマナを数えたのち、《大いなる創造者、カーン》をプレイ……に《謎めいた命令》。ここまでは予定通り。

 

もう一枚の《大いなる創造者、カーン》をプレイ。

 

『2枚目……』

 

相手が動揺したように見えた。

 

《神秘の聖域》で回収した《謎めいた命令》は1枚のはずだが、この時の私はメモを取れていなかった。

 

だから、2枚目の《謎めいた命令》があるかどうかはわからなかった。

わからなかったが、どちらにしても結果は、

 

 

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『カウンタードローモードで』

 

敗北だった。

 

ゲーム2:収束

ワンマリガン後、《エルドラージの寺院》を含む土地3枚と《難題の予見者》2枚というハンドをキープした私に対し、対戦相手はダブルマリガンでスタート。

 

こちらがセットゴー、相手が《アーカムの天測儀》という静かな立ち上がり。

 

最初の大きなアクションはこちらの3ターン目《難題の予見者》。公開された相手の手札は

 

・《汚染された三角州》

・《冠雪の島》

・《ミシュラのガラクタ》

・《大魔導師の魔除け》

・《最高工匠卿、ウルザ》

 

小考する。

最も脅威となりうるのは《最高工匠卿、ウルザ》だ。しかし、見える限りでは相手の次のアクションは《大魔導師の魔除け》しかなく、これを抜けば相手のターンをパスさせることができる。さらに、こちらの手札には《難題の予見者》の2枚目が控えている。

 

考えた末、私は《大魔導師の魔除け》を選んだ。

 

――今日は豪運だと何度も感じた。

それは例えば赤緑ヴァラクートにストレートで勝ったときや、ドルイドカーンに勝ったとき、2ターン目に《難題の予見者》をプレイしたとき。そして――SE1で初手にウルザ土地が3種あったとき。

しかし、運は収束する。揺り戻しがいつくるか、それはデッキの神にしかわからない。

 

セットゴーで返してきた相手に対し、予定通り《難題の予見者》をプレイ。

 

 

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そこに《儀礼的拒否》。

 

――このターン、私は《虚空の杯》を引いていた。つまり、そちらを先にプレイすれば《難題の予見者》を通すことはできた。しかし、その場合でも結果は変わらない。

 

『ウルザをプレイ』

 

相手に《最高工匠卿、ウルザ》をプレイさせてしまうという、その結果は。

 

順調に盤面を構築していく相手に対し、こちらの土地は3枚のまま増えることはなく、そして手札にプレイできるカードもなかった。

 

12/12の構築物トークンに痛烈な一撃をもらったのち、やっと引き込んだ4枚目の土地から《大いなる創造者、カーン》をプレイしてみるが、当然のように打ち消される。

 

手札を見つめた私にできることは1つだった。

 

「負けました」

 

――こうして、私の初のSEは幕を閉じた。

 

エクストラターン:1番大きな

初めてSEに進んで、そしてこうしてセルフカバレージを書いてみて感じたのは、SE慣れしないとまたミスをするのだろう、ということだ。

 

店舗大会でもそうだが、大型の大会ではなおさら、会場は様々なざわめきに包まれていて、その中で各々がプレイする。

 

しかし、SEでプレイするのは4組8人のプレイヤーのみだ。離れた卓のシャッフル音が聞こえるほどの静寂の中で普段通りのプレイをすることの難しさ、それを痛感させられた。

 

そして、1番大きなミスはマッチの敗北が決定したとき、自分のミスばかりに意識がいき相手に気を配ることができなかったことだ。

 

またこの場に戻ってきたい。そして勝ちたい。勝てなければしっかりと宣言したい。右手を差し出し、

 

「ありがとうございました。頑張ってください」

 

と。

 

 

 

 

 

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